森博嗣「目薬αで殺菌します」

森博嗣Gシリーズ第7弾。
シリーズ個々の作品はそれぞれ1つの事件を扱っていますが、シリーズ全体を通しての、大きなストーリーというのが存在します。なのでどこから読んでも楽しめるけど、読み始めたら結局シリーズ全話読みたくなっちゃう。なんてあざとい商売だ森博嗣w
事件自体は、いつもどおりの森ミステリィ。犯人は文脈的に絞られますが、その先を詰められないので、まあ「フェアじゃない」というのかも。事件の謎どうこうというよりは、成り行きを固唾を呑んで見守る、というのが正しい楽しみ方な気がします。しかし森博嗣はこのトリック好きだよなあ。
物語の本筋が、だいぶはっきりしてきました。今作でも、森読者には懐かしい人がちらほら見え隠れします。実家に置いてきたS&Mシリーズを、揃え直した方が良さそうな気がしてきた。

目薬αで殺菌します (講談社ノベルス)

目薬αで殺菌します (講談社ノベルス)


以下でネタバレします。こういうふうにすれば大丈夫ですね。




二重人格トリック!何度目だ!そして結局今回も騙されてしまう。なんの脈略もなく出てくるんですけど、いわれてみれば、確かに矛盾のない書き方をしているんですよね。だからって、気付く人いるんか。
熟練した森読者なら、今回はストーリー的なビックリ度が甘いから、ラストにもう1どんでん返しがくるかも、くらいの想像は出来るのかもしれません。ミステリなんだから、騙された方が勝ちな気もしますが。
登場人物紹介で倉居と矢場が別の人物だ、っていう書き方をされてるのは、フェアなのかな。たしかに、倉居のブログの内の登場人物ではありますけど。
赤柳さんのパソコンすり替えは、“トイレに入ってから”が伏線だったんですね。直里さんの目薬を注してもらう、っていうのは、結局理由を説明されずに終わっちゃいましたけど、これも何かの伏線だったのかな。自分が気が付かなかっただけ?まさか佐野さんの、そういう趣味の人もいる、で終わり?倉居、直里の再登場フラグになってるのかなあ。
そして海月君の動向が気になる。まさか本筋に直接関わらないだろうとは思いますけど、でも「関わらない方がいい」「まだ大丈夫」発言が気がかりです。西之園を見る目が違う、っていうのも、穿った味方をすれば、まあそういう見方もできますしねえ。
うわあ、どんどん楽しみになるGシリーズ。まさかあと3冊で終わりはしないでしょう。真賀田vs犀川&萌絵でもう1シリーズいけますよね。